気候変動を予測する上で現在最も不確定な要素と考えられている一つとして、大気中のエアロゾルの影響が挙げられる。特に、元素状(黒色)炭素エアロゾルについては、実大気中ではその表面に有機・無機成分が付着している場合が多く、それによって放射吸収特性が大きく変化すると思われるが、その把握は進んでいない。そこで、本課題では、以下の3つの研究を実施する。 (1) 新しいエアロゾルの放射特性の測定法である音響光学法を導入し、主に元素状炭素エアロゾルなど炭素質エアロゾルの放射特性を精度よく測定および較正する手法を開発する。 (2) 黒色炭素エアロゾルの粒径と放射特性の関係を定量的に測定する。また、特に黒色炭素エアロゾルに有機物が被覆したときのレンズ効果など、放射特性の変化について定量的に明らかにする。 (3) 実大気中の内部混合状態にある黒色炭素エアロゾルの放射特性を日本や中国の都市域および大陸から輸送された汚染空気中で測定し、組成との関係や特に被覆の効果による吸収増大について、定量的に示す。
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