研究課題/領域番号 |
18310005
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
東 照雄 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (20094170)
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研究分担者 |
田村 憲司 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (70211373)
川東 正幸 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60297794)
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キーワード | 温暖化 / 土壌有機物 / 森林生態系 / 土壌水分・温度 / 土壌環境応答 |
研究概要 |
本研究の目的は、温暖化に伴う森林生態系の土壌有機物(以下、SOM)の動態変化について、新規に開発した模擬温暖化チャンバーに赤外線を照射することで地温上昇を行い、特に森林生態系のSOMの存在量、化学構造・組成、諸機能の変化を詳細に解析し、地温上昇に関するデータと土壌有機物の変化についての解析から、将来の地球温暖化環境における森林生態系の変化予測を行うことである。 既に平成18・19年度の研究において、冷温帯ミズナラ林下の褐色森林土表層のSOMが、量的・質的に大きく変化するという野外実験で再現性のある事実を得ている。そこで、本年度は、冷温帯とは異なる暖温帯シラカシ林で、上記と同様な研究を行い、これまでの研究成果と比較検討した。得られた主な成果は以下の通りである。 1)筑波大学構内の適切なシラカシ林を選定し(電源の必要性から)、模擬温暖化チャンバーを設置してチャンバー内の地温を測定した結果、赤外線照射区で地温の上昇が認められた。 2)6月から11月末までの実験期間終了後、土壌試料(表層5cm)の一般的理化学性(全炭素・窒素、CEC、pH、交換性塩基量)を測定した結果、SOM量は有意に赤外線照射で減少したが、その他の性質では18・19年度のミズナラ林ほどの顕著な変化が認められなかった。 3)土壌腐植の腐植酸量・フルポ酸量も、地温上昇による変化はミズナラ林ほど明確ではなく、NMR測定による土壌全体のSOMの化学構造にも有意な変化は認められなかった。 4)本研究の最終年度であり、本研究の研究期間中に得られた研究成果をまとめて、報告書を作成するとともに、学会発表・論文公表を行う予定である。
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