研究課題
表記課題を遂行する為に設定したサブプロジェクトとして、平成19年度は3項目について、研究を実施し、以下に述べる成果を得た。1.無機炭素濃縮機構(CCM)の中心となる分子機構解明のために、葉緑体型カーボニッグアンヒドラーゼPtCA1がチラコイド上に顆粒を形成する時に共局在し、高効率なCO_2固定に資するタンパク質因子を探索した。その結果、Rubiscoは共局在因子では無い可能性が高かった。一方、低CO_2環境下で重要と考えられている緑藻の機能未知タンパク質、Lci遺伝子のホモログ4種を海洋性珪藻で見出し、この発現量を分析したところ、3種が低CO_2誘導性であり、1種が定常的な発現を示した。現在、Lciタンパクの葉緑体内での局在を調べている。2.CCMを海洋表層のCO_2濃度変化に応じて転写レベルで調節する分子機構を詳細に解析した。その結果、昨年度まで考えられていた遺伝子プロモーター領域の配列内に更に新たなシス領域枠を見出した。この配列は互いに逆方向に3回並ぶ6塩基の相同配列を中心としており、研究からこのうちの2つのエレメントが存在していればCO_2応答をプロモーター領域に与えることが分かった。さらにこの配列がcAMP応答領域であることがわかり、CO_2応答性の新たなプロモーター構造の同定に至った。3.21世紀半ばまでに予測される環境変動の海洋一次生産に及ぼす影響を珪藻細胞内の分子レベルから予測することを目的とし、CO_2応答性のみならず、海洋の塩分濃度および鉄濃度に応答する遺伝子をcDNA-AFLP法で探索した。ここで捕らえた応答性遺伝子は数十種にのぼった。この遺伝子発現を実際の海洋環境で追跡する為の実験系を構築する為に、平成19年度は親潮域の海洋調査船に乗船し、海水からのmRNA抽出とこれを用いた遺伝子発現解析を試みた。
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Physiologia Plantarum 133
ページ: 68-77
ページ: 59-67
Plant, Cell&Enviromrient 30
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