研究概要 |
本研究の主目的である、マルチトレーサーデータベースを完成させることができた。データベースは、CD等の電子媒体で研究者に提供される。 平成19年度に決定した論文集(Progress in Oceanography SHOTS特集号)の内容にしたがい、分担して論文の執筆を行うとともに、査読プロセスを開始した。本報告時点で出版にはいたっていないが、太平洋、大西洋、インド洋での^<137>Csや放射性炭素、有機配位子等に関する約10編の論文が査読中である。 インド洋BEAGLE航海で採取した粒子状物質について、含まれる配位子濃度を測定した。その結果、インド洋の測点について100mから1000mの深さまでの粒子状配位子の鉛直分布を求めることができた。インド洋は南太平洋の中緯度域と異なり、深く(1000m)まで比較的高濃度の粒子状配位子が見出された。 海洋大循環モデルを使っての^<137>Csの再現の結果の検討をおこなった。1945年から2003年までの^<137>Csの海洋中分布の再現計算を実施し、約60年スケールの^<137>Csの全球海洋での輸送挙動の結果を得た。太平洋における^<137>Csインベントリーの計算結果は、観測結果の特徴と一致した。 本研究で作成したマルチトレーサーデータベースを利用して解析したところ、太平洋の多くに海域で^<239,240>Pu/^<137>Cs比が、表層から水深約1000mまで指数関数的に増加していることを見出した。
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