研究概要 |
近年の林業衰退に伴う森林管理の低下に加え, 気温上昇や降水パターンの変化により, 森林流域での物質収支が大きく変わってきている. とくに, 放置人工林では, 雪害や風倒木などの被害だけでなく, 降雨流出応答の短期化による洪水危険度の増大や濁水流出の長期化による生物生息環境の悪化など,数々の重大な問題が顕在化してきている.本研究の全体構想では, 森林を木材生産の場とする経済林と公益性を重視したいわゆる環境林とに明確に分けて捉えるのではなく, 全ての森林に対して, 客観的かつ定量的な公益性評価に基づく経済価値を与え, この対価として公共資本を投下するしくみを創りあげることを最終目標としている.このため, 本研究では, 木曽川水系長良川上流の針葉樹を主とする人工林について, 間伐などの森林管理が行き届いた森林流域と全く管理されず放置された森林流域を研究対象とすることにより, 次の 4項目の達成を目指した研究を進める. (1) 森林内物質収支に及ぼす森林管理状態の影響評価 (2) 森林内物質収支に及ぼす気温上昇および降水パターン変化の影響評価 (3) 森林内物質収支変化による流域環境変化応答のモデル化 (4) 流域環境変化に対する森林管理の経済効果評価
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