研究概要 |
本年度は、マウスES細胞から神経系細胞への分化における、遺伝子ネットワーク解析の有効性について検討を行った。ES細胞(B6G-2)にレチノイン酸添加後、分化開始0日目,分化2日目,分化8日目,分化29日目にRNA抽出を行い、マイクロアレイにて遺伝子発現解析を行い、遺伝子発現情報を取得した。これらの数値情報をGene ontology(KEGG-pathway)から抽出した神経系分化及び神経疾患に関連する遺伝子セットについて主成分分析、自己組織化マップによる解析を施し、特徴ある発現変化パターンに特異的な遺伝子セットを選択した。これら選択した遺伝子群に対しベイジアンネットワークを基盤としたTAO Gen(Theoretical Algorithm for Optimal Gene interaction networks)による遺伝子ネットワーク解析を行った。遺伝子リストには各分化段階を認識する特異的なマーカー遺伝子や、様々な発現パターンを持つ遺伝子が含まれており、網羅的な遺伝子相互作用解析が可能となった。特に「神経発生」「神経疾患」に関連した遺伝子セットは、分化程度に依存した遺伝子ネットワークを構築することが出来た。細胞形態情報と合わせると、ES細胞から神経細胞への分化を充分に評価できる系ができた。確立した系を用いて、ペルメトリン、ビスフェノールAなど9化学物質について神経毒性に関する遺伝子発現及び細胞の形態情報から化学物質の分類を行って、予測システムのためのテンプレートを作成した。
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