研究課題
本年度の研究成果として、大きく次の三点が挙げられる。第一に国際シンポジウムの開催、第二に環境経済・政策学会2008年大会におけるアスベストの企画セッションの設定および発表、第三に主に全都道府県や政令指定都市を対象としてのアスベスト対策に関するアンケート調査の実施である。この中でも特に、第一の国際シンポジウムが三ヵ年にわたる本研究成果を集約した位置付けにある。シンポジウムは「アスベスト補償・救済制度の国際比較」をテーマに、立命館大学政策科学部・大学院政策科学研究科が主催となって実施した。海外から、これまで行ったアメリカ、韓国、ヨーロッパへの各海外調査旅行において研究交流を行った、それぞれの現地の第一線で活躍する専門家の方々を招聘し、各国の最新状況の報告および討論を行った。その結果、アスベスト問題解決に向けての国際的な連帯、救済制度と裁判の両立、労災と環境被害を統一した法律などの重要性が明らかとなった。第二の学会報告は本研究プロジェクトメンバーが中心となって「アスベスト災害・公害」の企画セッションを立ち上げ、同時に本研究代表者・分担者、研究協力者らによる発表を行ったものである。日本の産業構造や公共政策とアスベスト災害・公害、自治体や建設業界におけるアスベスト対策などのアスベスト問題解決に向けての制度設計に密接に関係する各テーマについての成果発表にあたる。なお、本年度の第三の成果であるアンケート調査は自治体におけるアスベスト対策に関する研究調査の一環であり、その結果はこの学会報告において発表した。なお、以上の本年度の成果の多くは来年度初頭(2009年4月)に発刊する雑誌『環境と公害』(岩波書店)38巻4号に集録されるものである。
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政策科学(立命館大学) 16(1)
ページ: 7-30
http://www.ps.ritsumei.ac.jp/articles/index.php?target=20081004-000000