研究課題/領域番号 |
18310042
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
鈴木 雅雄 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子科学センター・粒子線生物研究グループ, 主任研究員 (70281673)
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研究分担者 |
鶴岡 千鶴 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子科学センター・粒子線生物研究グループ, 淮研究員 (60415411)
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キーワード | マイクロビーム / 炭素イオン / ヒト正常細胞 / バイスタンダー効果 / ギャップジャンクション / 細胞間情報伝達機構 |
研究概要 |
項目別目的1:マイクロビーム照射によるクロマチン損傷誘発のバイスタンダー効果のイオン種およびLET依存性 平成18年度は日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所TIARA重粒子マイクロビーム照射装置を利用して、マイクロビーム細胞照射方法を確立する目的も含めて、ヒト正常細胞の生物効果(細胞致死)とそのバイスタンダー効果の誘導を調べた。細胞致死はコロニー形成法による細胞の増殖死として検出した。TIARAサイクロトロンで加速された220MeV(細胞照射位置での推定LET=103keV/μm)炭素イオンマイクロビーム照射は、直径36mmの照射用シャーレ面上にコンフルエント状態に培養した細胞に対して格子状(16x16=256点)に直径20μm内に8個のイオン照射を行った。この照射方法により、同一照射野に炭素イオンビーム照射細胞と非照射細胞(バイスタンダー細胞)を共存させることが可能となる。平成18年度に行った3回のマシンタイムにおいて、マイクロビーム照射群の細胞生存率は、81-94%であった。今回確立した照射条件では、全細胞数に対して炭素イオンが直接照射される細胞の割合は8-9x10^<-3>%と計算される。細胞致死が炭素イオンが直接ヒットした細胞のみに生じ、非ヒット細胞には起こらないと仮定すると、非照射細胞の一部にも二次的・三次的な何らかのメカニズムによって細胞致死が誘導されたと考えなければ今回得られた結果は説明することが出来ない。このことにより、炭素イオン照射された細胞集団において細胞致死効果にバイスタンダー効果が誘導されたと結論する。また、ギャップジャンクション特異的阻害剤を併用した実験から、細胞生存率はほぼ100%まで回復した結果が得られ、観察されたバイスタンダー細胞致死効果の誘導にはギャップジャンクションを介した細胞間情報伝達機構が密接に関与していることが示唆された。
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