研究課題/領域番号 |
18310050
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
木村 成伸 茨城大学, 工学部, 教授 (90291608)
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研究分担者 |
千田 俊哉 産業総合研究所, 生物情報解析研究センター, 研究員 (30272868)
菓子野 康浩 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 助手 (20221872)
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キーワード | バイオレメディエーション / タンパク質工学 / 電子伝達系 / フラビン酵素 / 基質特異性 / X線結晶構造解析 / 反応中間体 / 結晶化 |
研究概要 |
本研究では、PCB分解菌Pseudomonas sp.KKS102株のBphA4を蛋白工学的手法により改変してNADPH依存的なビフェニル化合物分解酵素系を構築し、これをシアノバクテリアや光合成細菌に組み込むことによって、貧栄養環境下でも光エネルギーを用いてPCB等のビフェニル化合物を分解できる新規光合成細菌株を創出すことを目的としている。 初年度である本年度は、本研究遂行に必要な機材の整備を進めながら、NADPH依存的高活性BphA4変異体の作製とスクリーニングを開始した。まず、Pseudomonas sp.KKS102株のビフェニル化合物分解酵素系に電子を供給する電子伝達系をNADPH特異的に改変するために、X線結晶構造解析の結果から明らかとなったBphA4のNADH結合部位の一部(175位と177位)にアミノ酸残基置換を系統的に導入し、NADPH依存的な高活性のBphA4変異体をスクリーニングしている。野生型BphA4はk_<cat>/K_m比で約2000倍NADH特異的である。BphA4の175位をGlnに、177位をLysに置換することによって基質特異性を逆転させ、k_<cat>/K_m比で約32倍NADPH特異的な変異体BphA4変異体を得ることに成功した。現在、ランダム変異導入法を用いてさらにNADPH特異的で高活性な変異体の探索を進めている。また、NADPH依存的電子伝達系構築の基礎データを得るために、野生型BphA4と、その生理的電子受容体タンパクであるBphA3について、酸化型に加えて反応中間体である還元型、およびBphA3-BphA4複合体の結晶化とX線結晶構造解析を進めている。複合体の解析結果から、変異導入部位がBphA3-BphA4間の接触部位から離れており、変異がBphA3の特異的認識に及ぼす影響が小さいことが示唆された。
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