研究課題/領域番号 |
18310059
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
尾崎 保夫 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (10029308)
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研究分担者 |
片野 登 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (30315593)
林 紀男 千葉県立中央博物館, 生態環境部, 上席研究員 (60250156)
中野 芳雄 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (70315604)
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キーワード | 八郎湖 / 水質浄化機構 / 水生植物 / 植生調査 / 動・植物プランクトン / アオコ / 生態工学 / 植生浄化 |
研究概要 |
平成18年度は八郎湖の水生植物群落の調査を行うとともに、水生植物の水質浄化機能と動・植物プランクトンに与える影響を調査・解析し、以下の研究成果を得た。 1.八郎湖および湖岸周辺に生育する水生植物の調査 1975年の加藤君雄氏の調査研究では、沈水植物は八郎湖と一部東部承水路の面積(2950ha)の約24%に生育していたことが明らかにされている。しかし、今回の調査では、馬揚目川の河口(アサザ群落)、野村湖岸船着き場内(ヒシ、ホソバミズヒキモ、コカナダモなど)以外では、沈水植物群落はほとんど確認できず、八郎湖の沈水植物群落は著しく減少していることが明らかになった。また、抽水植物群落は西部承水路の一部では、幅広く形成されていたが、湖岸ではほとんど発達していなかった。 2.水生植物と動・植物プランクトンの相互関係 八郎湖周辺の旧湖岸農業用水路において、各水生植物群落における浮遊微生物の種類と現存量およびその季節変動を調査し、植生のあるところでは浮遊微生物の個体数密度が高まり、植生のないところではその密度が著しく低くなることを明らかにした。また、調査した水生植物群落ごとの水質には大きな差は見られなかったが、沈水植物群落内では、ミジンコ類の現存量が多く、特に、センニンモは植物プランクトンの生育を抑制し、水の透明度を高める効果のあることが示唆された。 3.水生植物の水質浄化機能の調査・解析 八郎湖周辺から採取した水生植物(ヨシ、マコモ等)を植栽した角型水槽(水の保持量900L)を用い、抽水植物の水質浄化機能を調査・解析した。ヨシ植栽水槽では、流入水の可溶性全窒素(DT-N)濃度を6.0〜6.5mg/Lに上げても、流出水の平均DT-N濃度はいずれも1mg/L以下となったが、マコモ植栽水槽では、流出水の平均DT-N濃度は2.72mg/Lまで上昇した。本研究は、ヨシ植栽水槽とマコモ植栽水槽では窒素浄化機能に差異があり、植栽植物により水質や生物相が異なることを明らかにした。
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