本研究では、50ナノメートル以下の気相中浮遊ナノ粒子に対して、既存技術では不可能であった粒径分布と粒子構成化学物質組成の迅速なその場観測を可能にする新規技術として、DMA (Differential Mobility Analyzer:微分型電気移動度測定装置)をもとに、オンラインで浮遊ナノ粒子の粒径ごとの化学組成を計測できる技術を新たに開発することを目的とする。この研究では、「気相ナノ粒子の高効率帯電化技術の開発」、「高透過率DMAの開発」、「オンラインで気相ナノ粒子の粒径ごとの組成を計測できる技術の開発」の3つの課題が重要であり、それらを中心に開発を行う。 研究の3年目である平成20年度は、オンラインで気相ナノ粒子の粒径ごとの組成を計測できる技術の開発を目指して、高透過率粒子選別装置の下流に装備させて、DMAにて粒径選別された排出ナノ粒子を加熱蒸発後に、その化学組成を分析する装置を開発した。DMAでは、粒径を測定すると同時に、粒径選別を行うことが可能であり、この機能を利用すれば、粒子を粒径ごとに計測することが容易にできる。粒径選別された粒子を加熱することにより、粒子を構成する揮発性有機物の化学成分分析をGCMS(ガスクロマトグラフィー質量分析計)により行った。これにより、粒径ごとの化学組成を調べることが可能になった。
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