研究概要 |
光機能に関わるナノデバイスを作製し、その構造と物性を各素子個別に直接対応させ、その構造形成過程、物性の起源や機構を明らかにできる素子単位の研究法を開発することが本研究の目的である.この目的にそって本年度は昨年度に設計製作したナノ粒子マニピュレータを有するナノ粒子個別分光試料ステージを用いて以下の研究を行った. 上記のナノ粒子マニピュレータを有するナノ粒子個別分光試料ステージを,これまで開発してきた光ファイバープローブと分光器の分光系、および励起のための光照射系を母体装置に組み入れたときの分光・照射系の最適化を昨年に引き続き行った.具体的には,ファイバーガラスの組成を調整し,高エネルギー領域での検出効率を昨年度に比較して数倍にまで高めた.これによりナノサイズの単一セラミックス微粒子の発光をスペクトル検出することができるようになった.また,このステージに、さらに、ナノ粒子保持部を加熱冷却できる機能を合わせて,実際に冷却させた.この時の冷却温度を昨年度よりもさらに低く130Kまで下げられるようにした.昨年度のステージ組み込み時よりも,分光測定に関して飛躍的な改善がなされた. 本研究の目的は、こうした光機能に関わるものであるが、これだけでなく,個々の光素子の原子ダイナミックス,電気的性質、および力学的性質までをもすべて同時に解析する手法を開発することにある.このため,観察対象となる,光ナノデバイスとしてのナノ構造物質探索を行った.具体的には,C60分子を単位格子とする結晶繊維であるフラーレンナノウィスカーを研究し,これを出発材料として優れた発光を示すナノ物質を合成できることがわかった.
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