研究概要 |
現有の複合機能型原子直視顕微鏡(その場高分解能透過型電子顕微鏡,加速電圧200keV)に初年度・次年度に設計・製作したナノ粒子個別分光ステージを組み込み、先端ナノ粒子材料の応用研究を進めた.ナノ粒子個別分光ステージは2つのピエゾ駆動と機械的な粗動機械を備え,高分解能透過電子顕微鏡の試料室に,組み込めるようにした独自のもので,市販されたものではない.研究の過程を具体的に述べると以下のようになる.透過型電子顕微鏡の観察試料室を圧力10-5Paまで真空に引いた後で、その中で金属・化合物のナノ粒子を気相法で堆積させた原子問力顕微鏡用のカンチレバー探針を観察し、分光に適した観察対象となるナノ粒子を選択し,その注目する粒子だけを個別に分光するために、ピエゾ素子駆動によるマニピュレータを用いて、その粒子だけをカンチレバー探針のもっとも突出した先端に移動させた.探針近傍に励起光を照射し、ナノ粒子を発光させた.この照射の際に、力学的に粒子を変形した構造を調べた.また、発光時の原子ダイナミックスを発光と同時に観察した.探針先端のナノ粒子に、自作の近接場顕微鏡用の光ファイバー探針を近づけ、発光を検知した.光ファイバープローブに接続した分光器によって、その分光を行った.以上、探針のナノメートルサイズの曲率とマニピュレータを利用して、1つのナノ粒子だけを孤立させ、それだけ分光する真のナノ粒子個別が、この原子直視法によって実現した.
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