研究課題/領域番号 |
18310077
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
荻 博次 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教授 (90252626)
|
研究分担者 |
平尾 雅彦 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (80112027)
垂水 竜一 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助手 (30362643)
|
キーワード | 弾性定数 / 超格子 / 界面 / 光計測 / 超音波計測 |
研究概要 |
フェムト秒パルス光によって超格子薄膜内に数十GHz〜THz域の超高周波弾性波(フォノン)を励起し、その伝ぱ時間を計測することにより薄膜内の弾性定数を精密に計測する極短パルス光フォノン共鳴シスデムを開発する。これにより、超薄膜や超格子薄膜の弾性的性質を定量的に評価することを目指す。 平成18年度においては、厚さ10nm以下の超薄膜において、音響フォノン共鳴を励起・観測する手法を確立し、超薄膜の弾性定数を正確に測定することに成功した。極めてパルス幅の短いパルス光を試料表面に励起して、様々なモードのフォノン振動を励起し、そのうち、薄膜内で膜厚方向に共鳴することのできるフォノン共鳴の共鳴周波数を測定することに成功した。これより、超薄膜内の音速を決定した。さらに、X線全反射率測定法によって膜厚を正確に決定し、超薄膜の弾性定数を決定した。 そして、Pt、Fe、Co、Cu薄膜に適用してこれらの弾性定数の膜厚依存性を調べたところ、Ptのみが、膜厚が薄くなるにしたがい弾性定数が有意にバルク材の値を超える現象を発見した。X線構造解析により、Ptは膜厚方向に大きく縮んでおり、この結果、原子間距離が近づくことによる弾性定数の増加現象が観測されたと考えた。3次の弾性定数を用いて、薄膜の面内引っ張り応力に対して変化する面外方向の弾性定数を計算したところ、測定値と同様の傾向が得られ、このことからも結晶の非線形性によって弾性定数が増加したことを裏付けた。ただし、変化量は測定値の方がかなり大きく、現在報告ざれている3次の弾性定数の値が実際よりも小さい可能性があることを示唆した。
|