研究分担者 |
平尾 雅彦 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (80112027)
垂水 竜一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30362643)
中村 暢伴 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (50452404)
草部 浩一 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (10262164)
|
研究概要 |
極短パルス光をナノ薄膜に照射することによって,薄膜内に超高周波の音響フォノンを励起し,遅延パルス光によってフォノン振動を検出し,薄膜の弾性定数を評価する手法を確立する.特に,超格子界面に高い感度を持つフォノン振動モードを選択的に励起することにより,界面の弾性定数を積極的に評価する手法を考案した.これまでの音響計測法では,薄膜全体の平均的な弾性定数を評価することができるが,体積分率の小さい界面部の弾性を積極的に評価することができなかった.そこで,界面近傍に応力が最大となるフォノン振動モードを励起し,このモードの共鳴周波数から,界面の弾性定数を測定する新しい手法と測定システムを確立した.この手法を用いて,Co/Pt,Fe/Pt,Pb/Ptなどの超格子の界面弾性を計測した結果,どの場合もバルクの弾性定数よりもかなり小さい値を示した.特に,整合性の悪いことが予測されるPb/Ptの界面や,界面層の膜厚が極端に低い(〜2A)ときなどは,界面を構成する部材の弾性定数は,バルク値の3割程度しかないことが明らかとなった.一方,コヒーレントな界面を作ることで知られているCo/Ptにおいては,界面弾性は比較的バルク値と近い値をしめした.このように,超格子の機能に重要な界面の力学的情報を定量的かつ高感度に捕らえた研究は初めてであり,意義の高い結果が得られたと考えられる.
|