研究課題/領域番号 |
18310079
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
菊池 昭彦 上智大学, 理工学部, 講師 (90266073)
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研究分担者 |
野村 一郎 上智大学, 理工学部, 講師 (00266074)
岸野 克巳 上智大学, 理工学部, 教授 (90134824)
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キーワード | ナノコラム / 発光ダイオード / ナノデバイス / 量子井戸 / 半導体超微細化 / 光源技術 / 窒化物半導体 / 分子線エピタキシー |
研究概要 |
GaNナノコラム中に内在したInGaN量子ディスクはナノ構造に起因する歪解放効果と貫通転位フリーという特徴によって優れた発光特性を有し、さらに近接する1本1本のナノコラムが全く異なる色で発光するという特徴的な多色発光現象も見出されている。本研究ではこの多色発光の発現機構の解明、発光色制御技術の開発、およびデバイス応用の可能性検証を目的としている。 本年度は、分子線エピタキシー(MBE)法によるGaN選択成長技術の開発を目指し、Si(111)基板やGaNテンプレート基板上にAlナノパターンあるいはTiマスクを用いる二つの有効な手法を確立した。特にGaNテンプレートとTiマスクを用いる選択成長では選択成長条件(成長温度、原料供給比など)の最適化を進め、InGaN/GaNナノコラムの直径を制御しつつ規則的に配列させることに成功した。この選択成長法を用いてTiマスクにストライプ状開口部を設けてGaNを選択成長させることで板状ナノ結晶(ナノウォール)という新しいナノ結晶の成長に成功した。ナノウォールでは、GaNテンプレートに存在する貫通転位のナノウォール内部への伝播が抑制されるというフィルタリング作用があることを見出した。 Si基板上に作製したマイクロミラーアレイ(MMA)上にInGaN/GaNナノコラムを分散して個々のナノコラムの位置を特定し、顕微分光と電子顕微鏡によって1本のナノコラムの発光特性と形状の関係を評価する技術を確立した。本手法は自己形成型の多色発光ナノコラム評価に有効である。 デバイス応用向けて、Si基板上への可視域InGaN量子ディスクナノコラムLEDの成長条件の最適化を進め、発効率の向上を得た。 MBE法によるGaN選択成長技術の確立により、ナノコラムの位置・形状が可能となり、形状の異なる個々のナノコラムの発光特性の個別評価による多色発光機構の解明および多色発光現象の人為的制御による多色発光デバイス応用が飛躍的に進展すると期待される。
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