研究概要 |
単層カーボンナノチューブ(SWNT)はその特有な電子的性質や力学的性質から、電子エレクトロニクス、機能性材料などの分野への広い範囲の応用が期待されている。SWNTはファン・デア・ワールス力により数十から数百本のナノチューブが束(バンドル)となった凝集体を形成している。本研究の方針は次に2つの方法からなる。先ず始めに、カーボンナノチューブの孤立分散化状態を作る目的で超音波照射を行い、凝集体からカーボンナノチューブを孤立化させると同時に安定分散状態を作る。次いで、目的とするカイラル構造体(n, m)の波長にレーザ共鳴吸収の励起光を照射し、選択的に共鳴励起分子の熱変化を起こさせ、分散系の不安定化を起こさせ沈降に至る経過から、目的のカイラル構造体を分離することを目的として研究を進めている。1)水系界面活性剤や高分子等の存在下で、SWNTのバンドルを孤立分散化させる方法が試みた。カーボンナノチューブ(HiPco)に界面活性剤としてはSDS、臭化アルキルトリメチルアンムモニウム(炭素数12、14,及び16)、高分子化合物としてカルボキシルカルメチルセルローズ(CMC)やキトサンなどを用いて、存在下で超音波処理によりSWNTのバンドルまたは凝集体を解きほぐしてより小さく細分化されていく過程である孤立化を、吸収スペクトル、Raman散乱、蛍光スペクトル、光散乱などを用いて、分散安定化が起こっていることを確認した。とりわけ、孤立化分散にはカップ-ホン型超音波照射を行いその有効性の検討を行った。これらの成果はa)超音波の強度依存性、b)超音波のpH効果、c)界面活性剤の鎖長効果として投稿原稿の執筆中である。2)ポンプ光Nd-YagCW,532nmを入射させ、1000nm-1400nmのアイドラー光を発信させ、高出力光により励起を行うため、レーザ共鳴励起光としては周期的分極反転ニオブ酸リチウム(MgO添加または無添加)を用いた光パラメトリック発振器(OPO)のシステムの立ち上げを行った。
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