本研究では、超分子・高分子の概念から同一フラーレン誘導体を素材としてその超分子自己組織化構造体をベースとした、ナノ・メゾスコピックオーダーの球状、ファイバー状、単層二分子膜、コーン状などの多種多様なナノカーボン集合体新素材の開発を提案する。有機・超分子化学を出発とするために、分子レベルにおける組織化形態を予測、制御でき、これまでにないナノ・メゾスコピックカーボンをセレンディピティー的に開発できる可能性を秘めている。さらに、本研究提案では、フラーレン超分子からなる次元規制型新素材の次世代カーボンマテリアルへの可能性を検討すると共に、デバイス上へのファイバー、ナノシートなどの位置選択的な配置及び実用化を視野に入れたナノデバイスの構築に取り組む。これまで、フラーレン二分子膜を単位構造としたディスク構造の作製に成功し、また、溶媒を変えるだけで、ファイバー状構造、ベシクル状構造、コーン状構造が得られることも明らかとなった。さらに、フラーレン誘導体から比表面積が極めて大きいフラワー状の構造体が得られることを見出し、その塗布膜を作成したところ、顕著な超撥水性を発現することが明らかとなった。フラワー状構造体の形状は金属などに転写することが可能で、光学測定の基盤として有用であることが新たに見出された。
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