研究課題
強誘電体薄膜の分極反転過程のX線回折と誘電率を同時に測定することを目指し、本研究費により購入した強誘電体評価システムと既設の多軸回折計とを組み合わせた装置を大型放射光施設SPring-8、ビームラインBL13XUで立ち上げた。強誘電体評価システムは、プローバシステム、広帯域QV変換器と100Vパルスジェネレータ、および、コントローラから構成されている。試料はタンタル酸カリウム基板(KTaO_3)(100)(500μm)上にルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO_3)(100)の下部電極(60nm)、強誘電体のチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)03、ここではPZTと略す)(001)(100)薄膜(2.4μm)を成長させ、白金(Pt)(無配向)上部電極(直径100μm)を取り付けたものである。入射X線エネルギーは12.4keVを用いた。試料の直前に置かれた屈折レンズ(Si基板上にポリマーSU-8をX線リソグラフィーで加工した開口約100mの微小レンズ列から構成されている)により、横方向は2.2μmに集光されたXI線ビームを用いた。印加する電場の大きさを徐々に大きくしながら、PZTのc-ドメイン002とa-ドメイン200回折強度付近のX-θmapを測定した。印加電圧により、ドメイン構造が変化することが観察できた。より詳細な解析によると、新たなドメイン構造の存在が確認できた。さらに、X線照射中と未照射中の試料中の電荷の時間変化を記録した。また、準備した集光ビームを用い、チタン酸ストロンチウム(SrTiO_3)基板上に育成したPZT薄膜(3μm厚)の断面からの、基板と薄膜からの020回折の逆格子マップを記録した。薄膜の深さの関数で格子定数が基板の格子に引きずられて変化していることを定量的に観察できた。
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