研究概要 |
本研究は、マイクロチャンネルを用いて多相エマルションを生成する研究である。マイクロチャンネルで、0/W(Oil in Water)液滴を生成するには、流路表面の濡れ性として親水性、W/0(Water in Oil)液滴を生成するためには疎水性にする必要があるため、n-オクタデシルトリクロロシラン(OTS)の塗布ならびに紫外線照射の組み合わせにより、疎水化を行い多相エマルション生成に成功した。 本年度は、液滴の生成条件を精査するために、物性を変化させたときの生成条件、生成される液滴のサイズについて実験を行い、予想されるモデル式の作成を試みた。流路幅・高さがいずれも100[μm]の十字型微小流路チップ(石英ガラス製)を用いた. 材料には、分散相には1,6ヘキサンジオールジアクリレートを用い、連続相は界面張力を変化させずに粘性を変化させるためにポリビニルアルコール2%水溶液,同8%水溶液、さらに粘性、界面張力ともに変化させるためにグリセリン溶液を使用した。縦軸を連続相流量、横軸を連続相流量にとり両軸ともにキャピラリー数で表記して液滴生成範囲をプロットしたところ、連続相の流量範囲はすべて一致したが、ピーク位置は差が生じた。これは、壁面と分散相との界面張力の影響を考慮する必要があると考える。また、液滴サイズを予測するために流路と同じサイズである100μmの液滴径が生成される点をプロットしたところ、ほぼ同一の曲線上にあることから、未知の物性に対しても液滴径を予想することができることが示唆された。
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