研究概要 |
本研究の目的は,リポソームを利用した膜タンパク質の機能解析を効率的に行うデバイスを実現することである。以下の3項目に研究は細分化される。1.膜の作成:膜タンパク質や試薬,ナノ材料が導入された均質なリポソームを効率的に作成するデバイスの実現、2.膜の固定化:これらのリポソームを基板にアレイ状に固定化するためのデバイスの実現、3.膜タンパク質の機能計測:これらのデバイスを集積化し、膜タンパク質の機能解析を効率的に行うデバイスの実現。 本年度は、申請者らが考案した接触法を利用して、様々直径のリポソームが形成できることをした。まず、膜タンパク質の導入された脂質2重膜にガラス管などのマイクロノズルを近づけ、ジェット流をパルス的に発射する。このジェット流のパルス幅(時間)および、膜とノズルの距離、ノズル直径など、さまざまなパラメータを調整し、直径をある程度制御可能な条件を明らかにすることができた。ジェット流の発射の際に、主要なベシクルのほか、小さいベシクルもできるサテライト現象が起きることも分かった。これらを積極的に利用することによって、より小さいベシクルを作成できることもわかってきた。 また、膜作成において、平面膜の作成法に関しても研究している。微細加工を利用して、マイクロサイズの微小孔を作成し、内部に脂質2重膜を作成する。孔の形成には、高分子フイルムであるパリレン樹脂を利用した。その結果、複数の孔に安定して2重膜が再構成できることが分かった。これらの結果の一部は2006年度の化学とマイクロシステム国際会議(microTAS2006)にて発表し、好評を得た。
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