研究概要 |
本年度はまず,前年度に引き続き,異なる種類の点分布に関する時空間解析手法の開発を行つた。名称尺度変数を属性として持つ点の分布について,その時系列的な変遷を記述する手法開発を,主として理論面から進めた。手法としては,主に統計的理論に基づく点生成,消滅の分類,それを用いた分布変化自体の分類,分類成果の可視化,の3段階から構成されており,各段階において,定量的な評価に基づく判断が行われる。 次に,開発した解析手法の適用と評価を行った。既存手法,及び,昨年度までに検討した手法との比較を行うために,同一のデータセットを用意し,それらに対して同様の適用試験を実施した。当然のことながら,手法の性質が異なるため,目的に応じた手法選択が重要であるということが明らかになっている。 本年度はさらに,点分布から派生する空間構造の一つとして,空間分割構造を取り上げ,その時系列的変化の分析手法についても検討を加えた。点分布から作られる空間分割構造としては,ボロノイダイアグラムがもっとも有名であるが,このような構造が時間の経過と共に変化する事例は少なくない。そこでここでは,空間分割構造の変化が複数時点についてデータとして得られている場合を想定し,その分析手法の開発と適用を実施した。
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