研究概要 |
本年度は前年度に引き続き,空間分割構造を取り上げ,その基本的な分析方法を再考した.時系列的変化の分析,特に,連続的だけではなく離散的にも変化する空間分割構造を対象とするには,複数の空間分割間の関係を分析する手法を予め確立する必要があることが明らかになったためである.そこでここでは,二つの空間分割構造の関係を考えることから始め,次に3つ以上の空間分割構造の関係を体系的に記述する方法を提案,その適用を行った,この結果,この手法を時系列分析にも応用できる目途が立った.この手法の適用は,日本全国を分割する構造である,都道府県,道州制,各公共機関の管轄区,民間企業の営業範囲などを分類し,それらの特徴を見いだすという分析に行った.この結果,空間分割構造の由来に応じて,その空間的類似性が自ずと定まること,反対に,類似した空間分割構造は,それぞれ共通の要素を持ち合わせていることなどが明らかになった.その後,本年度は最終年度に当たるため,これまでの研究成果をまとめ,いくつかの口頭発表や査読論文という形で公表してきた.口頭発表のものについては既に成果としてあげることができるが,査読論文については現時点では査読中であり,まだ結果は公表されていない.来年度中には出版されることを期待している.
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