研究分担者 |
原 千秋 京都大学, 経済研究所, 教授 (90314468)
室町 幸雄 首都大学東京, 社会科学研究科経営学専攻, 教授 (70514719)
田中 敬一 首都大学東京, 社会科学研究科経営学専攻, 准教授 (00381442)
芝田 隆志 首都大学東京, 社会科学研究科経営学専攻, 准教授 (70372597)
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研究概要 |
本年度の研究成果は次の通りである. 貸出債権ポートフォリオおよび保険商品のリスク特性分析において,木島・田中が長期運用に係る超長期のゾーンを含む金利の期間構造のモデル化と金利デリバティブの価格付けを進展させた.スワップスプレッドやベーシススワップなどのように,同じ満期であっても複数の債券が異なるイールドを示唆するイールドスプレッドが観察される.このようなイールドスプレッドを原資産とするオプション価格を計算する枠組みを提示した. 与信集中・企業倒産のモデル化については,芝田が企業に融資している複数の銀行による競争的債権回収を考慮し,企業の負債価値の評価モデルを提示した.保険商品のリスク特性の分析については,室町が多変量Wang変換を,明確な経済的意義を持つ測度変換のクラスにまで拡張し,裁定機会のない非完備市場の価格付け手法の選択肢を格段に広げた.また,与信集中リスクの大きさを示す尺度(リスク寄与度)について考察し,期待ショートフォールおよびそのリスク寄与度の高精度推定手法を提案した。原は,時間割引率の異質性が資産価格にどのような影響を及ぼすかについて分析をすすめ,その異質性の分布を特定化することで,より明快な特徴を導出した。特に,個々の投資家の時間割引率の分布がガンマ分布に従うことと,代表的投資家の時間割引率が時間に関する双曲関数であることが同値であることを証明した. 最後に,2008年8月4日-5日に,研究者16名(海外6名)による国際会議を開催し,本研究の成果報告を行った(参加者第1日目71名,2日目64名.詳細は備考欄13のホームページを参照).本会議では,金融機関が抱えるリスク管理の諸問題について活発に議論し,本研究の成果報告を行った。なお,本会議で報告された論文は,2009年6月に洋書として刊行される予定である.
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