研究概要 |
本研究においては,エネルギー物質への衝撃エネルギーの付与による反応開始から,反応進行,定常爆轟に至る超高速のプロセスを,高分解能ピエゾ抵抗圧力素子を利用した計測システムにより実時間計測を行い,計測結果の現象解析と超高速度カメラおよび高速度ビデオ撮影による凍結画像により確認し、それらを基に極限反応の機構に関する分子論的解釈とモデルの確立を試みる。その上でリスクアセスメントシステムへの導入を図り,その検証を行うものである。2年目にあたる平成19年度は,以下の項目について実施した。 (1)非理想爆轟挙動の計測 典型的な非理想爆轟挙動を呈する産業爆薬として,硝安油剤爆薬(ANFO)および硝安/燃料混合物を試料とし,硝安の物性が爆轟パラメータに及ぼす影響,ならびに爆轟挙動のスケール効果についての実験データから,非理想爆轟挙動の確認と解析を行った。 (2)爆轟の非理想性の解析 爆轟パラメータである爆轟速度,ピーク圧力の直接的計測から,爆轟の非理想性を表現する「γ値」を決定し,1次元爆轟を仮定した理想爆轟計算結果との比較により,反応率を算出することを試みた。理想爆轟計算には,KHTコードおよびCHEETAHコードを用い,爆轟生成ガスの状態方程式の相違,ならびに爆轟波面での反応率の決定方法について検討した。さらに,超高速度カメラによる爆轟波面の曲率に関する情報から,爆轟パラメータと反応率との相関について考察し,モデル化について検討した。
|