研究概要 |
損傷センシング用の薄膜型荷重センサを用いた圧縮試験における圧縮荷重とセンサ出力の関係をもとに,荷重測定精度を調査した.その結果,薄膜型荷重センサは8.8kN程度までの荷重を実用上十分な精度で測定できることを確認できた. 続いて,ひずみゲージおよび薄膜型荷重センサに適した発振回路の素子定数を決定し,同回路を設計・作製した.この発振回路によるひずみ計測の精度を確認するため,ひずみゲージを貼付したアルミニウム合金試験片の引張り型荷重下での材料試験を行った.この試験では,ひずみゲージを組み込んだ発振回路と計測器を有線結線したときの出力と,通常のインタフェースを用いた計測結果との比較した.その結果,発振回路による出力は通常の出力結果に近い値が測定できたが,通常のインタフェースを用いた場合に比べて変動が大きかった.これは回路の温度特性が影響したものである.そこで,ケーシング,温度特性の良い素子の利用等,温度変化への対策を行った.さらに,繰り返し荷重下での発振回路によるひずみ測定精度の検討を行うため,発振回路を用いた軸力疲労試験を,荷重負荷の繰り返し周波数を変化させて行った.ひずみゲージを組み込んだ発振回路による出力と通常のインタフェースを用いた計測結果を比較したところ,繰り返し周波数が小さい場合ひずみ波形を精度よく計測できることがわかった.また周波数が大きい場合でも,平均応力を精度よく見積もることができることが確認できた. 回転部材の疲労センシングの予備的試験として,アルミニウム合金試験片の回転曲げ疲労試験を行い,主に低サイクル領域の疲労寿命を採取することができた.これらの実験と並行して,複合材/金属のボルト接合試験片における損傷検出試験に用いる試験片を設計し,複合材やボルトの作製・発注を行った.
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