研究概要 |
昨年度候補として選定した偏波面保持型の光ファイバ(PANDA)を実際のBOCDAシステムに接続して基礎特性を測定した。模型レベルの装置での基礎実験の結果,コンクリートに目視レベル以下のひび割れが発生した場合に起こる局所的な歪の変化を捉えられることを確認した。 また,杭に発生するひび割れの検知性能を確認するため,柱状のRC試験体を作成し,その表面に光ファイバをエポキシ樹脂を用いて全面的に接着し,試験体を水平にして中央部を加力することで強制的にひび割れを発生させた。その結果,基礎実験同様に,目視レベル以下のひび割れによる局所的な歪の変化を捉えることに成功した。検知できる空間分解能は従来方式(BOTDR)の20倍の5cmであり,光ファイバを貼り付けた部分の任意の位置に発生する変化を数cmの誤差で検知した。杭に過大な応力が発生したとき,構造的に問題を与える前の微小なひび割れによる局所的な歪の変化を捉えることは,杭の安全性の向上に大きく寄与できるものと思われる。さらに,実装性の確認のため,エポキシ樹脂によりコンクリートに接着した光ファイバの耐久性について経時確認を実施中である。 システムの高度化としては,前期に問題となった安定性の低下について、光変調器のバイアスコントロールにより改善した。また,測定レンジを拡大するため,前期に検討したパルス制御回路を作製し,空間分解能5cmに対して60mの測定レンジを達成し,杭に適用できるレベルとなった。なお,本方法については,今期中に特許出願を行った。さらに,関数フィッティングなどのソフトウェアの改良を実施して,ブリルアンスペクトルのピークの読取精度向上を図った。
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