研究課題/領域番号 |
18310128
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山下 隆男 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (30111983)
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研究分担者 |
塚本 修 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (40027298)
大澤 輝夫 神戸大学, 海事科学科, 准教授 (80324284)
小林 智尚 岐阜大学, 工学部, 教授 (50205473)
永井 晴康 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (20354847)
間瀬 肇 京都大学, 防災研究所, 教授 (30127138)
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キーワード | 台風 / 異常気象 / 熱帯性低気圧 / 大気・海洋結合モデル / 水災害 / 気象災害 / 災害外力 / 高潮・高波 |
研究概要 |
巨大化する台風、ハリケーン、サイクロンを対象として、わが国の主要湾、メキシコ湾(ミシッシッピー川河口海域)およびベンガル湾における高潮、高波、強風、豪雨に関する災害外力の上限値を設定することを目的とする。 1.数値モデル:本研究の成果である、高潮数値予測においては大気・海洋結合モデルは大きな研究の進展をもたらした。さらに発展させて、今年度は、気象学、河川工学、水文学、森林学、生態系学との結合により、流域・海域で一貫した物質輸送、水循環をシミュレーションできる数値システム「アジア環境シミュレーター」を構築した。2.台風と海洋との相互作用:気象モデルMM5と海洋モデルMITgcmの非静力学モードにより、台風と海洋との相互作用を検討した。対象とした台風は黒潮海域を通過した台風0310号で、台風と海洋との相互作用により発生する海水の湧昇流が下層の冷水を海面に持ち上げ、海面水温が下がることで台風の構造がどのように変化し降水量がどの程度減少するのかを定量的に検討した結果、次の成果を得た。(1)計算による水温低下分は、約3度であった。(2)全熱フラックスの差異は最大で400W/m_2の低下が計算された。(3)全降水量は、相互作用を考慮した場合には5.1%の減少が見られたが、海面水温の低下する場所との直接的な関係はない。(4)大気・海洋相互作用を考慮することで、台風構造に最大で風速10m/s、相当温位5K、渦度2×10_<-4>の減少があることが示された。また,海洋の構造変化としては,台風じょう乱による海水面近傍での海水混合で、海面水温の顕著な低下と混合層内における発散流の発生による3次元流れ構造が形成されていることが確認できた。 3.災害外力:2006年の南九州の豪雨の再現計算、台風0415号(T0415)の西部日本海における観測、現地調査の情報を活用して、大気・波浪・高潮結合数値モデルの高潮、豪雨の再現性の検証を行い、アジア環境シミュレーターの災害シミュレーションへの適用性を確認した。
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