研究課題
ベクターキャッピング法による酵母の全長cDNA解析の成果を取り纏めて、論文として発表すると同時に、UTゲノムブラウザ(http://yeast.utgenome.org/)を通してデータを公開した。我々はこの解析によって、3,5990RFを含む3,638既知遺伝子に関して11,575の転写開始点(TSS)を同定し、酵母では大半の遺伝子が複数のTSSを持つことを明らかにした。また45個の新規イントロンを見出し、4個の既知イントロンの位置を修正した。これらの中には酵母では例のないオルタナティブ・スプライシングや隣接遺伝子間でのスプライシングも含まれていた。更に、遺伝子間領域由来の新規転写単位、アンチセンス転写単位、ORF内TSSを持つ転写単位を、それぞれ少なくとも667、367、348個同定し、出芽酵母トランスクリプトームの予想外の複雑さを明らかにした。遺伝子間領域由来の新規転写単位については、その3'末端を決定して全構造を明らかにした。これらの結果は、5 'SAGEやタイリングアレイによる結果ともよい一致を示しており、高等生物で注目されてきたゲノム全般の転写や非コードRNAの解析において酵母がよいモデル系を提供できることが示唆された。こうしたトランスクリプトームの複雑性と転写単位確定における転写終結点把握の重要性に鑑みて、エマルジョンPCRとパイロシークエンスをベースとする454シークエンサーに合致したクローニング・フリーのペア・タグ・カウント法の開発に着手し、各段階の要素反応の最適化が進行中である。
すべて 2006
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Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103
ページ: 17846-17851