研究課題/領域番号 |
18310132
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
林 哲也 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (10173014)
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研究分担者 |
中山 恵介 宮崎大学, 医学部, 助教 (10347057)
小椋 義俊 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 助教 (40363585)
大岡 唯祐 宮崎大学, 医学部, 助教 (50363594)
桑原 知巳 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (60263810)
黒川 顕 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (20343246)
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キーワード | 遺伝学 / 腸内細菌叢 / ゲノム / メタゲノム / 難培養性 |
研究概要 |
本研究の最終的な目的は、難培養細菌が多数を占める腸内常在菌叢における腸管部位による構成菌種の違いや特徴の解明である。これは糞便のメタゲノム解析では解明困難であり、ヒトでの解析は倫理的・技術的にも難しい。そこで、マウスを材料として、宿主との相互作用という点では最も重要と考えられる粘膜表層、特に離乳期回腸粘膜表層に焦点を絞り、その最優勢菌種であると予想される難培養性細菌Segmented filamentous bacterium(SFB)の全ゲノム解読に取り組んだ。 (1)無菌マウスを用いたSFBの分離:まず、離乳期マウスからマイクロマニピュレーターを用いてSFBを回収し、rolling circle amplification法で増幅を行った後、ショットガンライブラリーを作成した。しかし、本法ではプラスミド配列が優先的に増幅され、全ゲノム解析への応用が難しいことが判明した。そこで、SFBが芽胞形成細菌でクロロホルムに耐性であることを利用し、離乳期マウスから採取した空・回腸部をクロロホルム処理した後、無菌マウスに投与し、その空・回腸部を回収してDNAを抽出した。16SrRNA配列解析の結果、本法によってSFBが分離できることが確認されたため、抽出したDNAを用いてライブラリーを作成した。 (2)SFBのゲノム解析:5万リードのショットガンシーケンスを行った。SFB以外にXanthomonas由来と思われる配列が約半分を占めたが、SFB由来のATリッチな配列のみを用いてPCRによるギャップクローズを進め、約50のスーパーコンティグとなった。そこで、無菌マウスを用いてSFBを再度分離して、フィニッシングのためのBACライブラリーを作成した。今後、BACクローンの両端配列を決定し、この情報を基にフィニッシングを行う予定である。難培養細菌はクローン化できないため、今回の解析は一種のメタゲノム解析である。得られた配列の解析では、複数のクローンが混在していることが明らかになっており、本研究は難培養細菌のゲノム解析のための新しい方法論の開発につながると期待される。
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