研究課題
転写酵素RNAポリメラーゼの転写対象遺伝子群の選択は、転写因子との相互作用によって決定される。従って、ゲノムの転写パターンは、転写装置に結合する転写因子の交換によって変化する。ゲノム配列分析から予測した約300種類の大腸菌転写因子の中で約100は、未だに生理機能未知である。機能未知の推定転写因子が認識し結合するDNA部位を分析することで支配下遺伝子群を同定する目的で、石浜らは機能未知転写因子の迅速機能推定法Genomic SELEX法を開発した。本研究では、これを利用して、大腸菌の全ての転写因子の支配下遺伝子群を同定することでそれらの転写調節機能の同定し、その上で各転写因子の転写制御作用機構の解析することで、ひとつの生物で全ての転写因子が関わるゲノム転写包括制御の全貌解明を目指した。本年度は、大腸菌転写因子300種のうち、290種の発現系を確立し、280種に関しては精製純化した。純化転写因子と、大腸菌ゲノムDNA断片混合物を利用して、転写因子が認識結合するDNA塩基配列を決定し、その結果から、制御支配下遺伝子群を予測するGenomic SELEX法を開発した。本年度は、機能未知転写因子80種を中心に、転写因子150種に関して、Genomic SELEX解析を実施した。多数の転写因子の支配下遺伝子群を同定出来たことで、(1)10種類以上のプロモーター群を支配する新種「包括転写因子」の発見、(2)10種類以上もの転写因子の制御を受ける「多因子支配プロモーター」の発見、(3)ひとつの転写因子支配下に別の転写因子遺伝子が含まれる「転写因子ネットワーク」の発見など、原核細胞の転写制御の新しい局面を明らかにすることが出来た。研究の戦略・戦術の有効姓が確認できたので、ひとつの生物の全転写因子の制御機能の解明の展望が開けて来た。
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