研究概要 |
本研究は,遺伝子解析のためのデバイスとして,プローブオンキャリア法によるDNAチップ作成技術を実用化に向けて改良し,これまでにない信頼性と設計の自由度,さらには格段の低価格を実現して,世界標準となり得るDNAチップ製法を確立することを目的としている。今年度はこれまでの成果を土台に,プローブオンキャリア作製の目的に最適化した核酸合成法,光化学反応を利用してDNAミスマッチ認識能を向上させるための研究,定量化向上のための微小、定形状の薄片型プローブオンキャリアの開発といったシステム全般の開発を目標に研究を行った。核酸合成法研究では,新しい核酸合成用リンカーの開発を行い,また従来は合成後に遊離させていた反応保護基を遊離しないままDNAチップ用のプローブとして用いることで,より強固なハイブリダイゼーションとなる事を発見した。本法はより容易に,より有効なDNAプローブの作製を可能にするため,"Protected DNA Probes"法として提唱した。また,DNAミスマッチ認識能を向上させる研究では,光ライゲーションによってDNAの点変異を高精度で認識する方法の開発にも成功した。 一方,プローブオンキャリア法を用いた遺伝子発現解析用のマイクロアレイと薄片型プローブオンキャリアの開発にも挑戦した。プローブオンキャリア法を用いる事で,120塩基長のDNAが効率良く合成できる事が示され。マイクロアレイの作成が可能であることが示された。また,薄片型プローブオンキャリアの試作にも成功した。さらに,本法の実用化に先立つ権利化については,定量化向上のための方法として特許申請した「多孔質粒子を用いた反応検出チップ及び該チップの作成方法」が特許査定を受け,成立する事が明らかとなった。もう一方の特許についても,成立のため努力しているところである。
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