(1)昨年度に解析したイネ系統のDNA変異情報をもとにして、約150種類のSNPマーカーを開発した。これらを利用して、イネ品種識別ができるかどうか調査中である。さらに、これらのマーカーを利用して、戻し交雑の迅速化に利用する。(2)イネ品種「ひとめぼれ」にEMSによる突然変異処理を施した系統のM3世代を2500系統、M4世代を2500系統育成した。これらの系統群計5000系統を対象として、「ひとめぼれ」に親和性および非親和性のいもち病菌レースを接種することにより、野生型系統では親和性(罹病性)反応の組み合わせである場合に、非親和性(抵抗性)を示すような突然変異体10系統、逆に、野生型系統では非親和性(抵抗性)反応の組み合わせである場合に、親和性(罹病性)を示すような突然変異体20系統を選抜した。現在これらの系統を、遠縁のイネ品種と交雑し、F2分離集団を育成し、突然変異遺伝子のマップベースドクローニングに向けて準備を進めている。さらに、突然変異系統の中から、形態が変異した系統を選び、原因遺伝子のマッピングを進めている。平成19年度は、新たに系統「ササニシキ」にEMS突然変異処理を実施し、M2系統の展開の準備をしている。これらの突然変異系統は、最終的に「ひとめぼれ」1万系統、「ササニシキ」5千系統を作出し、すべてM4世代まで進めて、種子とDNAを保存し、TILLING法により突然変異率を推定して、将来の正逆遺伝学の実験材料として、また育種素材として活用する予定である。
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