KIAA蛋白質を含めた巨大な蛋白質は蛋白質複合体の中心的働きをすると考えられるため、KIAA蛋白質を欠損させれば、機能蛋白質複合体の機能全体に影響を与え、遺伝子欠損マウスで明らかな表現型を示すという仮説を提唱している。KIAA遺伝子欠損マウスの中で、KIAA1440遺伝子欠損マウスは胎生E3.0~E3.5の早期胚盤胞期で発生を停止し、アポトーシスが誘導された後に死滅することが明らかとなった。最近、KIAA1440はスプライシング因子であるU1/2 small nuclear RNA(snRNA)の成熟化を行う複合体である、Integrator複合体の最大サブユニット(Ints1)であるという報告がなされた。KIAA1440蛋白質のIntegrator複合体での機能を確認するために、遺伝子欠損マウス胚におけるsnRNAの変化を定量的PCR法で解析した。その結果、KIAA1440-/-ではKIAA1440+/-に比べて未成熟U2 snRNAの蓄積が明らかになった。このことは最大サブユニットであるKIAA1440の遺伝子欠損は、Integrator複合体のプロセシング活性を著しく低下させることを示している。KIAA1440蛋白質はインテグレーター複合体の構成蛋白質であることを別の角度から証明できただけでなく、KIAA1440はインテグレーター複合体の機能の不可欠な役割を果たす蛋白質であることを明らかにすることができた。また、別の遺伝子欠損マウスであるKIAA1447遺伝子欠損マウスの新生仔は生後直に死亡するが、詳細に機能解析を行ったところアルシアンブルーとアリザリンレッドによる骨染色の結果から、KIAA1447-/-新生仔の骨形成不全が観察された。更にゲルろ過法を用いてKIAA1447蛋白質が巨大な複合体を形成していることを生化学的に明確に示すことができた。
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