研究課題/領域番号 |
18310138
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
南野 直人 国立循環器病センター, 研究所・薬理部, 部長 (50124839)
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研究分担者 |
佐々木 一樹 国立循環器病センター研究所, 薬理部, 室長 (80260313)
尾崎 司 国立循環器病センター研究所, 薬理部, 室員 (60380565)
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キーワード | ペプチド / ペプチドーム / プロセシング / 質量分析 / データベース / 生理活性ペプチド / 分解ペプチド / 下垂体 |
研究概要 |
ラット組織中のペプチドをできるだけ多く解析し、プロセシング様式の解析、推定を可能とするため、本年度は最もペプチド含量が高いと推定される下垂体を中心に検討を進めた。下垂体全体を出発材料として確立してきた手法により分解を抑制してペプチド画分を調製、解析したところ、33前駆体由来の390ペプチドの確実な構造情報を得た。生理活性ペプチド前駆11種を含む26種は分泌蛋白質で、3種の血液蛋白質、4種の非分泌蛋白質が検出された。低温灌流などを含む処理法の改良により血液由来蛋白質についてはほぼ完全に除去でき、脳組織よりも遥かに良質のペプチド調製が可能となった。活性型生理活性ペプチドも多く観測され、未報告のアセチル化、アミド化、ピログルタミル化の修飾を受けたペプチドも観測された。より詳細な分離により目標数を上回るペプチド情報が入手可能と考えられたため、プロセシングの異なる前葉、後葉に分離後ペプチド抽出し、詳細な分離、解析を実施中である。同定ペプチド数の増加には、1)同定済みペプチドの排除リスト作成による質量分析の実質的な解析効率上昇、2)抽出液中の蛋白質の同定(ゲルロ過時の蛋白質画分をトリプシン消化して解析)による対象蛋白質の限定化を基盤とした推定効率の上昇などを検討している。 一方、ラット心房のペプチド解析では、心房性ナトリウム利尿ペプチドやその断片ペプチドが強く観測されたものの、細胞内構造蛋白質や代謝系酵素などの分解に由来するペプチドが大部分であった。下垂体と同様の処理法で著しく悪い結果しか得られなかったことは、現在の手法の改良では対応不能と推定され、蛋白質分解を排除した新たなペプチド調製法が必要と考えられた。各組織に適したペプチド調製法の確立が必要と考え、副腎などの他組織の抽出物を調製し、その解析結果と比較検討しつつ方法論の検討を行っている。
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