研究課題/領域番号 |
18310140
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坂口 和靖 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (00315053)
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研究分担者 |
今川 敏明 北海道大学, 大学院先端生命科学研究院, 助教授 (20142177)
中馬 吉郎 北海道大学, 大学院理学研究院, 助手 (40372263)
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キーワード | 癌抑制タンパク質 / 変異体 / オリゴマー / ペプチド / フォールディング |
研究概要 |
がん抑制タンパク質p53の機能発現のためには四量体の形成が必須である。ヒト悪性腫瘍においてp53四量体形成ドメイン30アミノ酸残基中に23ものミスセンス変異が発見されており、これら変異によるp53機能の不活性化機構の解明は、p53遺伝子のミスセンス変異による細胞がん化を理解する上で極めて重要である。本研究では、四量体形成ドメイン変異によるp53機能の不活性化機構を解明し、四量体形成安定化を介した変異体タンパク質の機能修復活性をもつ薬剤開発を目指している。 本年度は、ヒト悪性腫瘍由来のp53四量体形成ドメイン変異ペプチドの一次選択と合成、それらのペプチドに対する立体構造の解析とカテゴリー化を実施した。さらに天然型p53四量体形成ドメイン結合ペプチドの配列検索を同時に行った。その結果、以下の成果を得た。 1.ヒト悪性腫瘍由来のp53四量体形成ドメイン変異ペプチドおよび天然型ペプチドを用いてFmoc固相法により化学合成した。これらのペプチドについて、二次構造をCDにより分析し、天然型p53四量体構造との比較を行った。その結果、変異によってその立体構造が不安定化されるが、その程度には変異の起こっている部位および置換された残基によって大きな差異が見られることが明らかとなった。 2.また、ターン部位の変異においては、熱安定性の低下のみならず、立体構造の変化を伴うことが明らかとなった。これは、このターン部分におけるペプチド結合の二面角が極めて制限されているためであると考えられ、ターン形成が困難になりβストランドが延長されていると推定された。 3.天然型p53四量体形成ドメインペプチドに結合するペプチド配列を得るために、ペプチドファージライブラリによるスクリーニングを実施し、そのアミノ酸配列を解析した。その結果、2種のペプチド配列を、安定化ペプチドの候補として選択した。
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