天然蛋白質が示す立体構造や機能に関する特性は、ポリペプチドとしての高分子的性質と、進化の過程で選択された特定のアミノ酸配列が指定する生物学的性質の両者が複合したものである。したがって、天然蛋白質に関する研究だけでは、この両者を区別して議論することは困難である。そこで、我々が蛋白質について持っている知識を総動員して、"はじめから"蛋白質のアミノ酸配列をデザインし、合成・解析を行う研究、すなわち、「デノボ蛋白質設計」の手法が有効となる。本研究課題では、申請者がこれまで行ってきた蛋白質設計の研究成果を基盤にして、蛋白質の構造物性(とくに構造揺らぎ)と蛋白質機能の関係を解明することを目的として、複数の人工蛋白質の設計と合成、構造と機能の解析を行う。
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