研究概要 |
本研究は、社会政策研究者と労働法研究者の共同研究である。平成20年度(最終年度)は、各グループが独自の課題を追究すると同時に、本研究課題に沿ったまとめを行った。 1.社会政策グループは、2008年5〜6月にスーパーマーケット販売・加工職7職種(精肉・畜産、鮮魚・水産、青果・農産、惣菜、デイリー、ドライ、チェッカー・カウンター)および医療・介護サービス職3職種(看護師、施設介護職員・ホームヘルパー、診療放射線技師)を対象に「仕事の評価についてのアンケート」(回収数1647票)を実施した。本調査によって、これらの各職種の職務の価値と賃金との関係を明らかにすると同時に、結果の検証を通して、日本において同一価値労働を測定するための職務評価システムのモデルを構築した。 2.労働法グループは、2007年9月に実施したイギリス現地調査のフォローアップから「イギリスの同一価値労働同一賃金原則」に関する包括的な研究成果を公表した(『労働法律旬報』No.1675,2008年7月上旬号,「特集イギリスの男女平等賃金に関する調査」)。さらに、本研究のまとめに向けて、同一価値労働同一賃金原則の観点から日本の労働法の改正の方向性、同一価値労働同一賃金原則を実現するための紛争解決手続の構築、企業内部における平等賃金監査システム構築の可能性を検討した。 3.本研究からは、日本における同一価値労働同一賃金原則の実施システムの構築に向けて(1)労働法の改正の方向性、(2)男女/正規・非正規間の賃金格差に関わる紛争解決手続と企業における平等賃金監査システムのあり方、および(3)このプロセスで、平等賃金の検証と実現に不可欠な職務評価システムのあり方を具体的に提案する。
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