研究概要 |
H19年度は, 1)人体やその一部の資源化とジェンダーについて検討するための「卵子のゆくえ」に関する調査, 2)新しい検査技術の発達がいかにジェンダー関係に影響され,また影響するかについて検討するための「親子鑑定」についての資料研究と調査, 3)医療器具とジェンダーについて検討するために,産婦人科「内診台」とその使用環境についての調査を実施した。まず 1)「卵子のゆくえ」については,人間の卵子がいかに資源化,商業化されているかについて,ロスアンジェルスとサンフランシスコで不妊治療クリニック,卵子斡旋エージェント,受精卵の養子縁組を行っているNPOなどへの聞き取り調査を実施した。また,韓国においては,ファン元教授らのES細胞研究における論文ねつ造と卵子の不正入手が明らかになる前後において,再生医療研究への期待や評価がいかに変化したかを,難病団体,障害者運動団体の関係者への聞き取り調査を実施した。さらに,日本において卵子提供にかかわった人々への調査をHPの開設などを含めて準備を整えた。 2)「親子鑑定」については,日本と韓国においてそれぞれ親子鑑定の検査業者または親子鑑定を実施している医療機関についての調査を実施した。 3)医療器具とジェンダーの検討のためにロスアンジェルスとサンフランシスコ,韓国のソウルの産婦人科や家庭医が使う「内診台」とその周辺の環境を観察した。さらに,日本の内診台の歴史的変化についても明治期までさかのぼり調べた。テーマに広がりがあるが,詞査地を限ることにより,効率よくデータが収集でき,調査できたと考えている。H20年度には台湾・韓国と日本国内調査を実施し,最終データの収集と分析を行っていく。
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