研究課題
研究代表者と研究分担者、連携研究者および研究協力者によって構成されたチームによって、以下の3つのテーマにおいて調査研究を進めてきた。1)医療機器(内診台)とジェンダー調査:H20年度は台湾における産婦人科内診台の見学と内診台を改革している医師へのインタビュー調査を実施した。これによりすべての調査を終了し、報告書「内診台調査プロジェクト報告書」を作成した。その要点は、異なる社会において「内診」という行為の受け止めには共通点が多くある。だが、その共通点、たとえば内診は不快である、恥ずかしいなどへの対処方法には、文化的な相違点が見られた。日本の場合には内診台の技術開発が進んだ。技術開発の方向性は、単にメーカーの販売戦略(高価なものを売りたい)や医療者の都合(人手不足を補う)だけに収束されるのではなく、医師と患者の関係、コミュニケーションのあり方、プライバシーの認識、領域の認識などによって違いが多様性が生じることを把握した。2)親子鑑定検査調査:H20年度は、H19年度までに調査した韓国と日本のデータを整理しながら台湾の状況を調査し、比較考察した。日本における親子鑑定検査を経験した個人へのインタビュー調査を計画したが協力者が得られず、専門家からの調査を実施し、この研究を発展させる検討をしている。3)卵子のゆくえに関する調査:H19年度までにアメリカと韓国、台湾において、卵子の不妊治療や生物医学研究への提供や売買、その規制状況に関する調査を実施した。H20年度は日本国内での卵子提供経験者の調査を試みたが調査協力者がなく実施できなかった。ただし韓国で1名実施できた。また、日本の卵子の研究利用についての提供を依頼する側からの聞き取りができた。データ数が少ないため、プライバシーを考慮して公表の方法を検討中である。
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