研究課題/領域番号 |
18310170
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
二宮 周平 立命館大学, 大学院法務研究科, 教授 (40131726)
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研究分担者 |
池内 靖子 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (80121606)
立岩 真也 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (30222110)
松本 克美 立命館大学, 法務研究科, 教授 (40309084)
坂本 利子 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90331115)
岡野 八代 立命館大学, 法学部, 助教授 (70319482)
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キーワード | ジェンダー / 正義 / グローバリゼーション / 表象 / 国際比較 |
研究概要 |
本研究の初年度として本年度は、「正義」という普遍的理念のジェンダー的再構成を目ざしながら、司法過程、文化摩擦、労働市場、国際移動、移民、家族、セクシュアリティといったサブ・テーマを意識しつつ、国際比較の視点をいかし、現代日本における社会正義を実現するための男女平等とはいかなるものか、いかなるものであるべきか、といった理論的問いかけを分担研究者間で共有することが試みられた。 また、二回の国際シンポジウム「公私二元論の再考」「日韓交流シンポジウム:女性と表象、グローバリゼーションと女性の移動」を開催した。 以上の研究実績は、以下の二点に集約される。 1)グローバル時代の「正義」を語るうえで、セクシュアリティ・家族・ケアといったそれまで公的領域に属さないがゆえに、正義論の射程にはないとされてきた課題に応えることなく、ジェンダー平等は実現されないことがますます明らかになった。また、21世紀の新しい現象として、女性が国境をこえると同時に、既存の公私の境界をも揺るがす事態が生じていることをいかに分析していくかが新たな検討課題となった。 2)表象分野の研究として、現代アジアの女性アーティストの芸術表現に焦点を当て、アジアの歴史的コンテクストと関わらせ、ポストコロニアルな状況における表象の政治といった批判的視角、および、ジェンダー理論の枠組みから、女性の主体構築と新しい表現の可能性を明らかにした。また、アートを歴史や政治から切り離す従来の批評の枠組みを問い直しが試みられた。とりわけ、20世紀の帝国主義や植民地主義の歴史、その予期せぬ結果としての難民、移民、亡命者たちの経験をふまえ、現在新たに進行しているグローバリゼーションのもとで生み出されるディアスポラ(離散)の人々の抵抗と表現について考察を深めることは、今後本研究のテーマである新しい「正義」概念の構築に不可欠の研究課題であることを確かめた。
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