研究課題
現象学的哲学の視点から「いのち・からだ・こころ」をめぐる現代的問題に対して理論的寄与をなそうとする本研究は、最終年度である本年度において、平成18,19年度の成果を踏まえ、各自がさらに応用現象学的研究を行う'とともに、第3回応用現象学会議を開催して共同研究の実質を深め、研究成果をまとめることを目指した。研究代表者榊原は研究全体を統括しつつ、「いのち・からだ・こころ」をめぐるケアの現象学の基礎と展開の考察に努めた。和田はいのちの諸相のなかで、現象学的に反省可能な意識のいのちに焦点をあて、身体や死の問題とも関連づけて考察した。浜渦は現象学的精神医学とケアの人間学を繋げつつ、ケアの現象学へと展開する研究を推し進めた。谷はこの問題を「暴力」の問題と絡めて、いわゆる「こころの傷」にも考察を広げ、さらにこの商題を含む別角度からの研究プロジェクトを組織した。村上は、発達障害に関する研究をまとめ、治癒と発達の構造分析に着手した。山口は、『人を生かす倫理』の執筆を通して、間身体性に根ざす発生的倫理の構築を試みた。斎藤は「いのち」がτからだ」ならびに「こころ」と取り結ぶ関係をフッサールの「基づけ」という考え方をふたたび導入することで明らかにするとともに、現象学の事象分析の「極北」である.「時間」の問題にあらためて取り組んだ。宮原は、現象学的言語論や認識論の洞察を認知言語学の具体的な理論と比較検討し、両者の相互補完的研究の必要性を明らかにした。野家は、従来の表象主義や機能主義の認知観を超えた新たな認知の枠組みを引き続き探求した。貫は舞踊の美学的分析などを通じて「からだ」と「こころ」の現象学的哲学的解明をおこなった。田口はフッサールとレヴィナスの思考を主に参照しつつ、脳死臓器移植等の倫理・宗教的問題について研究を行った。以上の研究を踏まえ、年度末に3年間の研究成果を冊子として「研究成果報告書」にまとめた。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (22件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (14件) 図書 (4件)
「いのち・からだ・こころ」をめぐる現代的問題への応用現象学からの貢献の試み
ページ: 332-342
大航海 69
ページ: 28-35
臨床哲学 第10号
ページ: 3-20
木村敏・坂部恵(監修)『〈かたり〉と〈作り〉臨床哲学の諸相』
ページ: 95-119
緩和ケア Vol.19 No.1
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Alfred Schutz and his intellectual partners, ed. by Hisashi Nasu, Lester Embree, George Psathas, Ilja Srubar, UVK Verlagsgesellschaft mbH, Konstanz
ページ: 49-67
思想 No.1019
ページ: 55-76
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大航海 70号
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Annales de Phenomenologie 8
ページ: 163-180
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「いのち・ぶらだ・こころ」をめぐる現代的問題への応用現象学からの貢献の試み
ページ: 302-317
ページ: 255-274
暴力と人間存在
ページ: 17-69
文明と哲学 1
ページ: 102-116
Husserl Studies 24(1)
ページ: 1-14
メタフィジカ 第39号
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『実存思想論集』実存思想協会編、 XXII
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現代思想 35(16)
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白山哲学 43号
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