本研究は、科挙制度が成立し、随時その制度に対して変更が加えられることにより、中国の文化がどのような影響を受けたのか、多方面から解明することを目的とする。 先行研究を整理して問題点を整理すると同時に、科挙関連文献の訳注を作成し、科挙制度の運用面における実態と知識人がその中で如何に対処したかを把握するために必要な文献を広く利用しやすい形で提供することを目指す。また、八股文の学術的価値、試験官の好みや採点基準、あるいは出題傾向の変化など、これまであまり光が当てられなかった要素に着目し、科挙の実態の究明を行なう。 同時に、科挙を機軸に据えた文化史研究の歴史が浅いことに鑑み、国内及び海外の科挙学研究者と研究交流を進め、国際的な学術動向を踏まえた科挙研究の国際的ネットワーク協力関係を構築することを目指し、国内外の中国学の発展に寄与することを目的とする。
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