近世中国において実施された官吏登庸制度である科挙のその問題や答案が、思想史的あるいは社会史的に見た場合、如何なる史料的価値を有するのか。本研究は、従来ほとんど見過ごされてきたと言えるこの問題に取り組むべく、まずは研究の基礎的段階として、問題や答案それ自体の蒐集から着手するとともに、それと平行して史料の個別的あるいは総体的な読解をすすめ、その過程において、科挙の答案を分析する手法を構築している。ただしその対象範囲は、おびただしい数量の答案が国内外に散在する清代は除外し、宋から明末までに限ることとした。
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