研究課題/領域番号 |
18320015
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
森 雅秀 金沢大学, 人間科学系, 教授 (90230078)
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研究分担者 |
永ノ尾 信悟 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (40140959)
高島 淳 東京外国語大学, アジアアフリカ言語文化研究所, 教授 (40202147)
引田 弘道 愛知学院大学, 文学部, 教授 (00192287)
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キーワード | 空間論 / 象徴性 / 寺院建築 / 儀礼 / タントリズム / 画像データベース / 巡礼 / 宗教実践 |
研究概要 |
(1)研究分担者と研究協力者の参加を得て、研究課題に関する総括的な研究会を2010年2月に開催した。研究代表者の森が「インド密教の灌頂儀礼」としてこれまでの研究のまとめと、今後の課題について報告し、つづいて高島淳、松本郁代、冨島義幸の3氏が、それぞれの分野において宗教的空間に対するアプローチを行い、それをもとに出席者が討議を行った。とくにインドの空間のもつ象徴性が、東南アジアや日本に至ることで、どのような変化をたどり、それぞれの地域の文化的・社会的な状況と、いかなる関係を有するかが詳しく論じられた。研究会には他分野の研究者の参加も得て、学際的な内容の活発な討論が繰り広げられた。 (2)研究成果の一部として、研究代表者によるVajravali of Abhayakaragupta : Edition of Sanskrit and Tibetan Versionsを刊行した。本書はインド後期密教の代表的な儀礼文献のサンスクリット、およびチベット語の校訂テキストを中心とし、その概要を示す解説部と、同時代のインド密教の諸文献や、後世のチベット語文献に見られる関連箇所などを示した校注、さらにマンダラに関する基本的な情報等をまとめた付編からなる。本書を通じて、インド後期密教の儀礼や図像を理解するために、宗教的空間に関する象徴性の解明が不可欠であることを示した。 (3)今後の課題として、本研究のテーマである宗教的空間の象徴性は、実践、美術作品、建築などのより具体的な分野で考察されるべきであり、その背景として宗教と当時の政治的・社会的情勢との密接な関係が想定されることが示された。それらを包摂するテーマとして、王権と宗教という問題があることが指摘され、その学際的な研究が必要であるという認識で一致した。
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