研究課題/領域番号 |
18320023
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
富永 茂樹 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (30145213)
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研究分担者 |
山室 信一 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10114703)
岡田 暁生 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (70243136)
王寺 賢太 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (90402809)
長尾 伸一 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (30207980)
小田川 大典 岡山大学, 法学部, 教授 (60284056)
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キーワード | 啓蒙 / 近代性の擁護と批判 / 西欧・非西欧交渉史 / 科学・技術論 / 近代の政治・経済システム / 公共空間と私空間 |
研究概要 |
今年度も京都大学人文科学研究所において、18回の研究会を開催し、これまでの研究の延長線上に、1)19世紀から20世紀にかけての世界における「啓蒙」の受容・変形・批判の諸相の検討、2)18世紀ヨーロッパのいわゆる「啓蒙」の時代の再検討の2つを主要な課題として進めた。前者については、とりわけ日本を含むアジア、あるいはロシア、ユダヤ人共同体といったヨーロッパから見た周縁において「啓蒙」の名で呼ばれる現象の理解と、ヨーロッパにおける18世紀から19世紀の転換点に現れた「啓蒙」とその後の連続性と断絶性の理解とが焦点となった。この過程で、ロシアとヨーロッパの文化的交渉史を専門とする、モスクワ世界史研究所のセルゲイ・カルプ教授を招き、活発な議論を持つことができた。また、次年度における成果報告のまとめにむけて、これまでの議論を、1)18世紀の思想を同時代の社会史・政治史とつきあわせながら新たな解釈を提示する試み、2)「啓蒙」に近代の政治や社会の基本構想を生み出した起源を認め、それが19世紀以降どのように批判されつつ受容されていったかを明らかにする試み、3)近代の諸学(医学・法学・社会学など)や、それらの諸学への批判をはらむ知的な革新(精神分析など)が、「啓蒙」ととりもつ関係を明らかにする試みの3つに大別し、各々の研究担当者による論文作成に努めている。(なお、これらの議論内容の蓄積と共有、外部への公表のためにML、HPを活用した。) さらに昨年度に引き続き、18世紀ヨーロッパの啓蒙および19・20世紀の啓蒙研究・啓蒙論の主要文献の収集を行なった。また、作業中の啓蒙基本文献アンソロジーについては、完成に向けてその編纂・翻訳を続けている。
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