研究課題/領域番号 |
18320035
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
神林 恒道 立命館大学, 先端総合学術研究科, 講師 (80089862)
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研究分担者 |
上倉 庸敬 大阪大学, 文学研究科, 教授 (90115824)
藤田 治彦 大阪大学, 文学研究科, 教授 (00173435)
大久保 恭子 関西外国語大学, 国際言語学部, 教授 (70293991)
岡林 洋 同志社大学, 文学部, 教授 (80185462)
仲間 裕子 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70268150)
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キーワード | アジア / 近代 / 環境 / パブリック・アート / 美術 / 相互理解 / 翻訳 / 伝統と近代 |
研究概要 |
今年度の第7回アジア芸術学会は「城市公共芸術」をテーマに掲げて、武漢大学陳望衡教授を組織委員長として中国・襄樊学院で、10月16日から18日にかけて開催された。サブテーマは、(1)都市環境美学研究(2)都市公共芸術研究(3)都市環境と公共芸術の発展というものであった。アジアからは中国、台湾、韓国、日本、欧米からはアメリカ、イギリス、オランダ、フィンランドからの研究者による報告が行われた。科研分担者としては、神林、上倉、藤田、岡林、仲間が、その他、日本の若手研究者の発表がなされた。近年中国において、環境美学やパブリック・アートについての関心が急速に高まりつつある状況を実感することが出来た。これらの現状報告をめぐって、さまざまな質問、あるいはこれをサポートするような有益な意見交換がなされた。今回の研究成果は、アジア芸術学会機関誌「The Journal of Arts and Aesthetics」第4号に査読を経て掲載される予定である。東西の美意識に通底するもの、あるいはその差異性めぐる論議において、本誌のもつ意味はきわめて重要であり、国際的な関心が寄せられつつある。 本研究の研究代表者で、アジア芸術学会会長神林恒道による『近代日本「美学」の誕生』(講談社刊)は、「東亜美学前史」として先駆的な意義ある著作として評価され、既に台湾から翻訳が出されているが、近々中国武漢大学出版局からも新訳が刊行されることになっている。また陳望衡教授の『中国古典美学史』の日本語訳も完成し、明年には出版される予定となっている。これまで欧米の美学の動向を追うことをもっぱらとしてきた、アジアの美学研究にも今や大きな変化が現れつつある。また金英那教授の著作『20世紀韓国美術』の日本語訳に続いて、神林恒道編著『日本美術101鑑賞ガイドブック』が台湾で翻訳出版される運びとなり、アジア諸国相互の芸術理解もますます深まりつつある。 アジア芸術学会の部会としては、昨年末から今春にかけて同志社大学と台湾佛光大学でシンポジウムが開かれた。同志社大学での研究会では「美学における伝統と近代」の問題をめぐって、岡倉天心の東洋的浪漫主義と岡本太郎の日本的アヴァンギャルディズムが取り上げられ、活発な議論が展開された。佛光大学の国際シンポジウム「水與穀的邂逅-酒文化」では、神林が招待され、万葉集、古今集、和漢朗詠集、白氏文集、唐詩選をモチーフとして「酒と日本文化」という発表を行った。
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