研究分担者 |
片山 英男 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70114436)
天野 正幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (40107173)
櫻井 万里子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 名誉教授 (90011329)
橋場 弦 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (10212135)
小池 和子 (根本 和子) 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教 (50313185)
|
研究概要 |
ラテン文学はギリシャ文学に比べて内容が直載でないこともあり,日本ではまだまだ十全に研究されていない。とりわけ政治,思想,修辞学といった領域が及ぼしている影響の大きさが読解を難しくしている。研究2年度はそれをおぎなうべく研究会,読書会を中心に行った。ローマの修辞学と思想史に関する研究会を2度,さらにR.Syme,TheRomanRevolutionに関する研究会を1度,実施した(6月15日発表者吉田俊一郎,11月9日近藤智彦,3月14日小池(根本)和子)。吉田発表は今日には必ずしも読まれているとはいえないがルネッサンス期には修辞学のみならずローマ史の手引きとしても愛読されたワレリウス,マクシムスの紹介,近藤発表はストア派の運命概念について,小池発表はSymeの著作の歴史史料の取り扱い方や引用の仕方の癖についてが中心の話題であった。そのSymeの読書会は通算13回実施して(2007/4/20,5/11,6/22,7/13,8/29,10/5,11/2,11/30,12/21,2008/1/11,2008/2/8,2/29,/3/26),丹念に読み進めている。同書はローマ史の必読文献であるにもかかわらず,癖のある文体のせいもあって我が国では必ずしも念入りによく読まれているとはいいがたい書物である。当然ながら同時代史料をSymeがどう処理しているかが問題となるが,それも逐一,あたるようにした。さらに日本西洋古典学会大会にて逸身喜一郎はいわゆる教訓詩について発表した。教訓詩とは誤解を生み出す名称であること(「学問詩」といったほうがまだしも適切である),古代には教訓詩というジャンル概念がなかったことが発表の中心である。
|