ラテン詩のうち「教訓詩」「風刺詩」「書簡詩」などと総称されるもののジャンル区分すら再考の余地があり、かつ日本の研究では従来なおざりにされがちである作品群を読解する。そのためには同時代の広義の思想の理解が不可欠である。思想には今日の眼からすれば自然科学的(ないし占星術のような擬似科学的)な分野および宇宙生成論的思索も含まれる。さらには当時の社会風潮ないし政治状況、ならびに当時の教育の根本である弁論術(修辞学)の影響も測定しなくてはならない。いわゆる「哲・史・文」の区別をこえ幅広い知識を糾合して、このように難関であるテキスト群に多角的に挑み文学史の再構築をこころみる。
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