研究課題/領域番号 |
18320054
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 健 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30121867)
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研究分担者 |
菅原 克也 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30171135)
今橋 映子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (20250996)
杉田 英明 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90179143)
モートン リース 東京工業大学, 外国語研究教育センター, 教授 (40361787)
劉 岸偉 東京工業大学, 外国語研究教育センター, 教授 (30230874)
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キーワード | 比較文学 / 翻訳 / 東アジア / 比較文化 / 訳語 / 学術概念 |
研究概要 |
本研究は、近代東アジアにおける異文化受容の諸相を、その相互影響のプロセスに着目しつつ、近代日本における訳語の成立、近代的諸概念の成立に焦点をあて、調査、考察するものである。平成18年度は、まず、研究の基盤構築のために、基礎的な文献の収集に努めた。さらに、代表者である井上が、国際日本文化研究センターの共同研究「近代東アジアにおける知的空間の形成--日中学術概念史の比較研究」(代表者=孫江)および「出版と学芸ジャンルの編成と再編成--近世から近現代へ」(代表者=鈴木貞美)に参加、発表して、内外の研究者との連携を強化した。本研究の視野を広げるために、平成18年11月には、東京大学駒場キャンパスにおいて、国際比較文学会会長ドロシー・フィゲイラ氏ほかを招いて比較文学講演会「比較文学研究の最前線--南米・インド・日本」を開催した。リース・モートンは、平成18年7月、南フランスのAlet-les-BainsのAcademie du Midiのシンポジウムに参加、発表した。以上の研究活動によって明らかになってきたのは、東アジア文化圏における、西洋近代の用語や概念の成立過程は、日中韓の三国、三言語文化圏の相互交渉、相互影響が深く関わってくるがゆえに、ことのほか錯綜としたものであるということである。中国を訪れたキリスト教の宣教師によって伝えられ、漢字に翻訳された西洋近代の語彙が、日本に伝えられて、従来から存在した漢学系の語彙にまじって、蘭学や洋学の用語に転用・定着され、さらには中国に逆輸出されていった過程一つをとってみても、その実相を解明していくためには、比較文学比較文化研究の方法を駆使しつつ、東アジア各国研究者の緊密な協力関係の下に、作業を進めていく必要がある。その一方で、明治期日本における学術概念・用語の成立過程の、さらなる綿密な調査と分析が必要なことは言うまでもない。
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